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夜のピクニック

映画公開の前に読んでみた。これは凄い。






夜のピクニック


夜を徹してひたすら歩くという学校行事に主人公達は、高校生活最後のイベントとして参加する。80kmを歩きぬくという過酷な催しではあるものの、クラス単位から親しい友人とともに苦労を共にしながら、語り合う機会というものが、様々なドラマを紡ぎ出していく。

本作は構成が実に巧みである。時系列の変化に伴う思考の流れを、男女二人の主人公を立てて相互の視点で語っているのだが、これが実にリアリティがあって、良い。主人公二人は異母きょうだいで、相互に没交渉。周囲にもそれとは知られていないままクラスメートになってしまったのだ。その微妙な距離感を中心に、互いの友人関係と、年齢相応の恋愛感情のマトリクスを、叙情豊かに綴った青春小説の傑作なのだ。

ミステリ作家としても実力派の作者はごく自然な「秘密」と「謎」をさりげなく配置し、その緊迫感や解消されたときのカタルシスを最大限に描いてもいるのだ。そしてそれは、少年少女が大人になるイニシエーションにもなっている。まぁ小説として当然といえば当然なのだが、全ての解決となるゴールではなく、新たなスタートであることをさりげなくだがしっかりと強調している点が素晴らしい。途中途中で挿入される、冷酷なまでの表現を用いたモノローグを効果的なアクセントとし、地方高校の学校行事をモチーフとしながら、当事者だけのドラマで完結させない、開かれた物語となっている。無理の無い非日常の設定が、読者個々が持つ「思い出の相似形」のノスタルジーに落としていない一方で、瑞々しい感情描写が絶妙の塩梅で年齢を超えた感情移入を読むものに即す。これが、青春小説の傑作の所以である。


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