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狩人の夜

『狩人の夜』ディビス・クラッブ(1953発表) 2002 東京創元社

ちょっと『ジョジョ』調のハイテンションなサイコサスペンス

大恐慌直後のアメリカはオハイオ州。貧しさから強盗殺人を犯した男は、奪った金を隠し、その隠し場所を誰にも告げないまま、絞首刑となった。処刑まで同じ囚房にいた「宣教師」は、男の隠した現金一万ドルを執拗に追い求め、残された男の妻と再婚する。右手に"LOVE"、左手に"HATE"の文字を刺青した「宣教師」は過去にも、幾人もの未亡人と再婚しては、財産を奪って殺していたのだ。父から逮捕直前に、一万ドルのダーティーマネーを託された幼い兄妹ジョンとパールの運命は!?






狩人の夜






といった内容のサスペンス。展開はアップテンポで、前半半分までにキーとなる現金の隠し場所も、「宣教師」ハリーの異常性も読者には詳らかにされてしまう。そして、妹パールまで懐柔され、幼いジョンの四面楚歌状況は、行き着くところまで行ってしまうのだ。残り半分、一体どうなるのか!?

というところで、新展開を迎えることになる。この展開も含めてベタではあるし、スピーディーな展開は描写の淡白さと表裏の関係にある。だが、煎じ詰めれば鬱々とした児童虐待の物語である。なんの救いも無く、延々と粘着質なサスペンス描写を紡ぐ事が、かならずしも作劇上のプラスになるわけではない。その辺りのところは作者はよく理解していると思いたい。訳の巧みさもあいまって、必要最小限の描写を持ってストーリーは十二分に盛り上げられる。

本作を翻訳した宮脇裕子さんが、かの作家の作品をご存知なのかどうかは知らない。だが、本書の語り口、特にキャラクタ造詣に関わる描写や重要なセリフは、荒木飛呂彦調なのだね。凶悪な殺人鬼と彼に対峙する弱者、その双方が見せる意思の強さをテーマとしている点も荒木作品と通じるものがあるが、訳語のテンポや雰囲気というのが、実になんとも荒木的なのである。例えば「宣教師」ハリー・パウエルが、いたいけな幼女を詰問するセリフにこんなのがある。

「これが見えるかい?なんだか知ってるかな?」
「うん、知ってる」
「そうか!じゃ、なんだ?パール、これはなにかね?」
「わかんない」
だったら、知ってるなんて言うんじゃない。嘘をつくことになるぞ。これは、ナイフだ!
(中略)
「ジョンはおせっかいを焼くかな?それとも、おりこうにしてるかな?おせっかいを焼くと、後悔することになるぞ。もし、一言でも口をきいたら・・・・口をきこうとしようものなら・・・・
(中略)
「いいか、私のナイフには触るな!ナイフに触られると、頭にくるんだ!かんかんに怒るぞ!」

どぉ?『ジョジョ』の第三部あたりにありそうなやりとりでしょ?

ちなみにこの作品、ロバート・ミッチャム主演で映画化されているそうな。かの名優チャールス・ロートンの最初で最後の監督作品とのことで、スティーブン・キングも絶賛しているとか。この映画版に関しては、あとがきとして収録されている、石上三登志氏の文章が詳しく面白い。
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