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Doctor WHO ドクター・フー第3シリーズ#10 "BLINK"

脚本:Steven Moffat
監督:Hettie Macdonald
プロデューサー:Phil Collinson

11代目を数える新生ドクター、マット・スミスが主演の"DOCTOR WHO"第5シリーズのソフトが発売になった。とはいえ、米amazonからの着荷は約半月後・・・しかもついうっかり"Sherlock"の第1シリーズのBOXと一緒に予約してしまったので、12月の着荷なんだよな・・・というわけで、第5シリーズへの予習の意味での復習として、日本未公開の第3シリーズより"BLINK"のストーリーダイジェストとレビューを行いますよ。

これは第3シリーズの10話目のエピソード。第1シリーズの「空っぽの少年」(原題:"Empty Child")/「ドクターは踊る」(原題:"Doctor Dance")に匹敵する都市伝説系ソリッドホラーでありながらも綺麗にSFに落ちる傑作編なのである。

本作"BLINK"の脚本を担当したスティーブン・モファットは、件の「呪怨」調ガスマスクゾンビのエピソードも執筆している。又、ラブロマンスの佳作としての評価が高い「暖炉の中の少女」(原題」:"The Girl in The Fireplace")の脚本担当でもある。あの不気味な仮面のカラクリ人形の生みの親でもあるのだ・・・ね、恐ろしいクリーチャーとSFをやらせたら天下一品でしょ?

そしてモファットは第5シリーズよりメインライターに昇格。本作に登場するクリーチャーを早速、新生ドクターと対決させているのであった。

というわけで「予習の意味の復習」という趣旨はご理解いただけたと思う。スティーブン・モファットは本エピソードでどんな恐ろしい怪物を生み出したか?は以下に続きます。当然ネタバレになります。また例によって俺の拙い英語力で構成されていることを、予めお断りしておきます。自己責任でお読みください。

2007年英国アカデミー賞、ヒューゴー賞受賞、ネビュラ賞ノミネート他数々のアワードに輝いている傑作エピソードです。

廃墟好きの女性サリー・スパロウ(キャリー・マリガン)は、ロンドン郊外西ドラムリンにある廃墟アパートを散策していた。そこで彼女は奇妙なものを見つける。剥がれかかった壁紙の下にあった殴り書きの文字は、サリーを名指しした警告文であった。「奴らはそこに居る。逃げろ!振り向くな!瞬きすれば死ぬ!」恐怖に駆られたサリーは廃屋を後にし帰宅した。

夜明けと共にサリーは同居人の親友キャシー(ルーシー・ガスケル)と共に再びアパートを訪れる。そこには厳然と、サリーに向けたメッセージが残っていた。見間違いではないのだ。そして、誰にも行き先を告げてはいないのに、サリーを尋ねて男がやってくる。キャシーの孫と自称する男は、二十日前に亡くなった祖母の遺言本日只今この場所に、サリー宛の手紙を渡すよう言い渡されていたというのだ。たちの悪い冗談なのか?サリーはキャシーに確認しようとするが、男との遣り取りの僅かの間にキャシーは忽然と姿を消してしまった。

庭にある石像と同じ意匠の顔を隠して咽び泣く天使像が三体、キャシーのいた部屋に置かれていた。何者かを取り囲むような不安感を煽る配置の石像一体が手にしていたを、サリーは無意識にポケットにしまってしまう。

男から受けとった手紙は確かにキャシーからのものだが、その内容は信じがたいものだった。あの日・・・つまりさっき、キャシーは廃園に置かれた嘆きの天使像が動いたような気がした途端、ロンドンの遥か北、ホールの農場しかも1920年に時間を越えて移動してしまっていたというのだ。幸せな第二の人生だった旨を伝える手紙は、弟のラリーへのメッセージで結ばれていた。

サリーはキャシーの最後の言葉を伝える為、ラリーの勤めるビデオレンタル店を訪れる。そこではキャシーの弟ラリー(フィンレイ・ロバートソン)も又、不可解な現象を調査している最中だった。ネットで話題になっている「イースターエッグ」と呼ばれる謎の動画。それは、一部のDVDソフトにエキストラトラックとして収録されているドクターと名乗る男からの謎のメッセージについてだった。メーカーも把握していない、コンテンツとは全く無関係な男の断片的なメッセージは、現在確認されているだけで17種類があるという。ラリーは、店の在庫から該当するDVDソフトを探し出し、「イースターエッグ」のデータをリッピングし一まとめにしようとしていたのだった。

そして、ドクターと名乗る男はサリーを名指しで「瞬きするな」と動画を通じて警告を発していた。キャシーに起こった異変とドクターには何か関係が有るのだろうか?常人の理解の埒外の出来事が立て続き動揺していたサリーだったが、ビデオ店の店主の真っ当なアドバイスに従い、警察にキャシーの捜索願を提出しに行った。

警察署でサリーは、件の廃アパートは失踪事件が多発していることを知る。そして、一連の事件の捜査担当であるシンプトン警部(ビリー・オビオラ)の案内で、「ドラムリン博物館」と名づけられた、一連の廃屋失踪事件の証拠品(≒遺留品)保管庫に案内される。地下駐車場一杯に停められた失踪者が廃アパートまで乗ってきた車の群れの中に、奇妙な物体があった。シンプトンの言う「本博物館の目玉」であるその物体は、とっくの昔にイギリス国内から撤去されている警察回線専用の電話ボックスだった。元々警察の設備なのに、警察署で保有するマスターキーでもドアを開けることが出来ない。にも関わらず、現役のような雰囲気で手入れが成されているというのだ。

サリーは、陽気なシンプトン警部のおかげですこし明るい気分になって警察署を後にする。その日の夕方、早速シンプトン警部から携帯に連絡が入った。捜査上の必要というよりナンパ目的ミエミエで携帯番号を聞き出したシンプトンを憎からず思っていたサリーは、シンプトンの呼び出しに応じる。だがその場所は、病院の一室だった。

病室を訪れたサリーを待っていたのは、一人の老人だった。この老人こそシンプトン警部の変わり果てた姿だったのだ。そして老シンプトンはサリーに事件の顛末とこれから彼女が成すべき事を語り始める。

シンプトンはドラムリン博物館で、押収されてはいなかった筈の天使像に襲われ、1969年のロンドンに飛ばされてしまったのだ。そこでシンプトンはドクターと名乗る男に出会う。タイムトラベラーを自称するドクターもまた、嘆きの天使像の為にこの時代に飛ばされてしまったのだ。彼のタイムマシンは21世紀の西ドラムリンの廃屋に取り残された。他の犠牲者の車と同じように。

ドクターはタイムマシンを取り戻す為の方策をシンプトンとサリーに託した。嘆きの天使像の正体と対処方法を、17のメッセージに分割してDVDのエクストラトラックに仕込む。これをサリーに見せた上で、サリーを嘆きの天使と対決させタイムマシンTARDISを取り返してもらうというものだった。イースターエッグはドクターの指示でシンプトンが仕込んだものだったのだ。

1969年から第二の人生を歩んだシンプトンは警官にはならず、ビデオソフトの制作会社を興した。そして時代は流れコンテンツメディアはDVDに取って代わられる。ドクターの目論見は、四十年近い歳月を掛けて漸く準備が整ったのだ。

今夜シンプトンはその生涯を閉じる。時を越えたメッセージは非常な現実で結ばれると同時に、シンプトンの遺言になってしまった。サリーは意を決して、ラリーを伴い三度、西ドラムリンの廃アパートを訪れる。

ドクターのメッセージを意味が通るように並べ替え明らかになった嘆きの天使の正体。それは、別次元の何者かが作った、純粋な悪意の装置としか言いようのないものだった。それがこの次元で存在する時は石像の形質になる。存在とはすなわち認識されることで、誰かに見られている間だけは石像でいるが、観測者の視線がさえぎられた時、それは動き出す。たとえ瞬き(blink)であっても。そして、天使像が咽び泣くように顔を手で覆っているのは、もし互いに向き合ってしまったら、相互に石化したまま動けなくなってしまうからなのだ。

「瞬きするな・・・成功を祈る」ドクターのメッセージが終わった時、背後に気配を感じた二人が振り向くと、そこには嘆きの天使が居た。瞬きを抑えて、天使像を見据えるラリーを置いて、脱出口を探すサリー。石像の正体は判っても、対処方法は無いに等しいのだ。だが廃アパートの外に通じるドアは、全てロックされていた。

打つ手なしかと思われたが、サリーは地下室を発見し二人でそこに逃げ込む。だがそこには、既に三体の天使像が居た。そして、ターディスもあった。状況は危険なままだが、ミッション・・・ターディスの再起動・・・のクリアは目前だった。だがターディスのドアを開けようとした時、地下室の電球が急に明滅し始める。電源が石像に壊されかけているのだ。暗闇が部屋を包んだら、もはや逃れるすべは無い。闇と灯が明滅する中、悪鬼の形相を露わにして石像が襲い掛かってくる。滑り込みでターディス内部に逃げ込めた二人だったが、四方を取り囲んだ石像は凄い勢いでターディスを破壊しようと攻撃を加えてきた。

イースターエッグを焼きこまれたDVDには、ドクターが作ったターディスを再起動し1969年に送り出すオートプログラムが仕込まれていた。駆動音も高らかにタイムワープを始めるターディス。だが、時空を超えるのはターディスだけで、サリーとラリーは取り残されてしまう

そして、ターディスは完全に消失した。勇敢に戦った若い男女と、互いに向き合ったまま身動きも出来ない、四体の醜悪な天使像を後に残して。

そして数年後。サリーとラリーは結婚し、DVDレンタル店を営んでいた。だが何時までも事件の記憶を忘れようとしないサリーにラリーは心を痛めていた。だがそんなある日、ドクターと黒人女性が血相を変えて店の前を走り去っていく。サリーは咄嗟に外に飛び出してドクターを呼び止めた。

何かを狩る為だろうか、ロングボウで武装したドクターは、サリーの事は全く知らず一秒も無駄にしたくない風情だったが、サリーの気迫に押されてしばし彼女の話に耳を傾けた。サリー・スパロウという結婚前のフルネームを名乗った彼女は、ドクターにあるファイルを手渡して言った。「これから、いつかきっと、貴方は1969年で身動きが出来なくなる。その時にこのファイルを使って」と。そのファイルとは、ラリーが纏めたイースターエッグのメッセージとそれを見聞きした時のサリーのリアクションを時系列に纏めたものやキャシーの手紙などで構成されていた。

何者かは知らないが、自分の未来を知る女の気配りに感謝しつつ、ドクターと黒人女性は走り去っていった。

粗筋以上。

嘆きの天使のアイデアが秀逸ですな。やってることは「達磨さんが転んだ」なんだが、見えてない間に動く理由付けとして、量子力学を持ってきているところがいいセンスだなぁと。不確定性原理の怪物とでも言おうか。見る(観測)という行為そのものが結果(怪物)に影響を及ぼす(石像になる)という。

また、嘆きの天使像の意匠も恐ろしい一方、誰が何の為に作ったかが判然としない。あの石像のやっていることは、被害者個人の人生を破壊するというもので、被害者にとってはある意味死よりも悲惨なものがある。石像の製作者の邪悪さが根底にあり、なんとも不気味で後味が悪い。

その辺はモフェットのバランス感覚の素晴らしいところで、本編上の第一の犠牲者であるキャシーは、幸いにして幸せな(しかも100歳を超える長寿)一生を送ったようだが、第二の犠牲者であるシンプトンは悲惨のきわみである。

シンプトンが襲われたのは、ターディスの鍵をサリーに奪われた石像が、タイムマシンの起動を阻止する為警察署にターディスを奪い返しに向かった時に居合わせたからだったのだ。

粗筋ではカットしているが、シンプトンが起業できたのは、ドクターがLOTOの当たり番号を教えてやって、その賞金を充てたからなのだがこれは手段の為の段取りに過ぎない。むしろ、自分の死期を知らされる事が辛いだろう。自分が何時死ぬか判っていて、残された時間は他人の為に使わなくてはいけないという選択。この場合の死に時は、逆に言えば、どんな事があろうとサリーと再開するまで死んではいけないという意味がある。

死の床にあって、シンプトンは孤独だった。サリーが取る老いた手は、結婚指輪がゆるゆるになっていた。これは病の重さと共に妻に先立たれ、自身の死を看取る子供も居ない孤独な老後を象徴しているのだ。

それでもなお、サリーにドクターのメッセージを伝える為生き抜いたシンプトンもまた、「ドクター・フー」の基本テーマである無名の個人の道義心を描く形に昇華されているのが素晴らしい。演じたマイケル・オビオラは、BBCドラマ「ホテルバビロン」のオカマのフロントマン、ベンを好演しているので、おなじみの人もいるのではないかしら?

そして、廃屋に残されたメッセージというのも都市伝説的ですな。「石を投げれば心霊スポットに当たる」と言われる魔都ロンドン(w イギリス人の心霊好きが伺えるわけだけど、「廃屋の壁に残された特定個人(怪異の語り部)に当てられたメッセージ」というのが興味深いですな。日本にも「トイレの落書き」というものがありますからね。「赤いはんてん」のバリエーションで。本質は同じだけど小道具たてが異なるところで、文化の違いが伺えて民俗学的に興味深いところかもしれない。
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