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フランス白粉の秘密

フランス白粉の秘密(1930年発表) エラリー・クイーン 宇野利泰 訳 ハヤカワ・ミステリ文庫






フランス白粉の秘密




N.Y.五番街に立地するフレンチ百貨店では、通りに面したショウウウィンドウで行われる、ヨーロッパ近代家具のデモンストレーションが話題になっていた。毎正午に開かれるデモンストレーションを観に現れた見物客の前で、収納式ベッドを展開した時、一人の女性の死体が転げだす。二発の弾丸で心臓を打ち抜かれている女性は、百貨店社長の夫人であった。

これは未読であった。今回初めて読んでみた感想は、よく出来たパズラーであるなぁと。割に早々と事件の概要が提示され、犯人の特定も比較的容易であり、「読者への挑戦」へ正解を出せる快感を比較的簡単に享受できるという点において楽しめる作品であったかと。

だが、血痕から犯行現場がショウウィンドウ内部ではなく別の場所であるとするエラリーの論拠からすれば、真の犯行現場である社長室の血痕についての言及は、いささかアンフェアではないか?心臓を打ち抜かれているのだから当然大量出血が起こるわけで、その染みは当然社長室の絨毯にもドップリ血溜りを作っているだろう。それを痕跡を全く残さず処理できるものだろうか?まして、キーアイテムになるブックエンドの底部に張られたフエルト地の僅かな色違いを言及しているのなら、絨毯の色実や柄、材質に全く触れていないのはズルくない?

それはソレとして、原題は"The French Powder Mystery"なわけであるが、これを『フランス白粉の秘密』と訳した翻訳者の胸中は察して余りある。"Powder"なら一語でいろいろな意味を持つわけだが、日本語では"Powder"に該当する単語が複数あるなかでの苦肉の策であったのだろう。

「ローマ帽子」も「フランス白粉」も本編には登場しない。このタイトルは、国名が犯行現場(ローマ劇場の客席、フレンチ百貨店)、その後ろに続く普通名詞がキーアイテム(帽子、粉)という構造になっているのである。タイトルもまたヒントになっているのだ。残念ながら、国名シリーズは以降この法則性から外れていく。

だが、この遊び心あるタイトル命名の法則は、京極夏彦の京極堂シリーズが踏襲しているのであった。日本の戦後という舞台設定の故もあってあまり目立たないが、ここ最近の京極堂シリーズ(含む、薔薇十字探偵社シリーズ)の着想は、クイーンっぽくなってきたなぁと思ってもみたり。

発表年の1930年に何があったかというと、第一回FIFA開催とかドイツでナチス党が台頭し始めたとか、そういう時代背景がある。本編とは全く関係が無いが、ハナ肇、谷啓、小林昭二、名古屋章、深作欣二監督、ジョン・フランケンハイマー監督、クリント・イーストウッド、コリン・ウィルソン、エドワード・D・ホック他、各界錚々たる方々が出生した年でもあるのであった。
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